長谷川堯先生が最晩年に「村野和風はなぜ特別魅力的なのか解き明かしたい」と仰っていました。村野作品の最高の理解者として知られた先生でも、まだ理解が足りないとお考えの様で、その時の先生の横顔、お話された居間の陰翳や漂う空気感まで、最近のことのように思い出せます。
長谷川先生が建築で最も大切なこととされていた「建築の身体化」が和風ではとても顕著に感じられるように思います。特に茶室では自分自身が空間に向かって広がるのか、空間の方から体と一体化するのか、とても親密な体験ができるのが村野和風の魅力の一つだと思います。難しいことですが、今後感じたことを記してゆきたいと考えています。


