6 ・志摩観光ホテル・その3

  1. 村野藤吾の建築
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どの村野作品でも塔屋の造形は見事ですが、中でもこちらは傑作です。京都蹴上の都ホテルで、戦前に手掛けた5号館の増築で、先生はじめて和風の棟を重ねた塔屋をデザインしました。鉄筋コンクリートの、通常はキュービックな形状になる建物に和風の屋根を用いてデザインをする手法は村野先生ならではです。※その後、観光地を中心にホテル建築で真似され定番化しましたが、どれも似て非なるものです。

和風建築社の吉田さん曰く、「村野作品の塔屋は船舶のブリッジがイメージソースで、これは戦前の艤装の仕事から掴み取ったもの」と仰っていますが、確かにそう思います。

船舶をイメージさせる建築作品と英虞湾が見事な一体感で、夕暮れの空をバックに美しいシンフォニーが奏でられているようでした。

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